損保会社の仕事内容とキャリアー法人営業編③
前回、前々回のエントリーで損保会社の大企業向けの営業の業務内容についてお話しました。
花形と言われるポジションであり、社内での人気も高いのです。
ではどのような人がこのポジションに抜擢されるのか、書いていきます。
おおまかに言うと、法人営業に抜擢されるルートは以下の3つです。
①新卒入社⇒1場所目から大企業営業というパターン
②新卒入社⇒中小企業向け営業で成果を上げ大企業営業へ異動というパターン
③新卒入社⇒本社内勤部門を経験した後、大企業営業へ異動というパターン
1つずつ解説します。
1. 新卒入社後に即 法人営業部(大企業向け営業)でキャリアスタートのパターン
題名が長いですね。すいません 笑。
これは新卒入社後すぐに日産やホンダの担当者になるキャリアケースですが、まぁ結構レアケースです。ただそういうキャリアのスタートをした同期もいまして、だいたいは学歴に秀でており(東大・京大・早慶の上位学部)、かつ新卒入社後の研修期間中(数か月)にテスト成績で上位を取り、研修クラスでリーダーシップを発揮し、人を引き付ける人間性がある(+清潔感のある外見)みたいな人たちです。
損保ジャパンでは私が入社した際は100名前後の総合職(全国転勤型)がいたのですが、数名が選抜されて大企業営業からキャリアスタートしてました。
なので非常にレアケースです。
2.中小企業営業で成果を残し、大企業営業へ人事異動というパターン
これが一番多いと思います。新卒で会社に入社して、泥臭い中小企業営業をそつなくこなし営業成績を上げ、上司に気に入られて人事へ推薦もしてもらい、晴れて大企業営業へ人事異動というパターンです。王道ですね。
私は横浜市の南の方で中小企業営業をしていたのですが、先輩の1人がこのパターンで東京本社の大企業営業部隊に人事異動されました。
当時のチームが10名くらいの営業部隊でして、その中のエースクラスの人が引き抜かれていくというイメージです。年齢的には20代後半から30代後半といったところしょうか。即戦力としての意味合いが強い人事異動ですね。
ケースとしてはこれが一番主流だと思います。
3. 本社内勤部門から大企業営業へ人事異動するケース
これもケースとしては少なからずあって、新卒入社後に内勤部門(事務部門やIT部門、財務・経理・国際部など)で経験を積んだのち大企業営業へ人事異動というパターンです。
この人事異動ケースの狙いは、将来の経営幹部候補の職員(かつ本部内のバックオフィスした経験が無い人)に営業をやらせて、キャリアを広げされるというもの。
もっとダイレクトに言うと、経営幹部に向けての選抜試験みたいなものです。
優秀な職員が内勤部門でキャリアを始めた場合、どうしてもその部門のことしか分からなくなってしまいがちです。が、やはりビジネスである以上はお金を稼がないといけない、お金を稼げる人が上に昇進し役員や社長になっていくという構図なので、まぁどこかで営業はやらないといけない訳です。
ひらたく言うと『ドラマ: 半沢直樹』の浅野支店長パターンですね。彼は人事でキャリアを始め、優秀だった故に人事畑でずっと活躍。しかしながら更なる昇進のため(役員となるため)、営業にチャレンジしたといった具合です。
<2>と比べれば少ないですが、これもケースとしてはよくあります。
まとめ
上記3パターンが損保の大企業営業部に入る主な方法です。一度 大企業営業を経験した場合は、別の大企業営業のチームへ人事異動し、大企業営業内でぐるぐると周りながらキャリアを作っていく方が多い印象です。例えば東京本社で丸紅を担当した後に、大阪でダイキンを担当、その後 静岡の法人営業部へ課長待遇で人事異動みたいな感じです。
コバヤシ
損保会社の仕事内容とキャリアー法人営業編②
前回の続きで、損保会社 法人営業職員の仕事内容について語っていきます。
前回、法人営業担当職員は大企業の保険代理店子会社と一緒に、大企業様について保険提供をするとご説明。ここをもう少し掘り下げます。
法人営業担当職員のお仕事は主に以下の3点です。
<1>大企業本体への保険提供
<2>大企業の従業員様への保険提供
<3>損保会社内の地方営業担当者の取りまとめ、です。
1.大企業本体への保険提供
これは大企業の持つ建物や工場、在庫商品などの資産に対して損害保険を提供するという職務です。
例えばクロネコヤマトを考えた場合、彼らは膨大な数の車両(普通車両やトラック)を有していますので、これらに対して自動車保険をご提供します。またヤマトの建物・工場に対しては火災保険を。工場等の施設内の事故による賠償責任をカバーするため、賠償責任保険をご提案するといった次第です。
平たくいうと、大企業という法人本体に対する保険のご提案の仕事です。
2.大企業の従業員様への保険提供
皆様も覚えがあるかと思うのですが、年に1回、会社から保険の案内が郵送や回覧板、またはメールで来ていないでしょうか?
たいていの大企業は年に1度、従業員に対して保険の加入を勧めるパンフレット等を発行しています。従業員の方のケガへの保険(傷害保険)や従業員のお子さんの学費積み立て(学資保険)、マイカーに対して自動車保険と言った具合です。
これは大企業・従業員の両方にメリットのある話で、大企業としては代理店子会社を通じて手数料(数億円)が手に入ります。大企業を通じた保険募集は規模が大きい(数千-数万件)のため保険会社はディスカウントを提示する分だけ、従業員の方は割安で保険に加入することができるのです。
損保の法人営業担当は1年に1度の保険募集の際に、どのような保険をお勧めするのかを考え、パンフレットの作成までも行います。
<3>損保会社内の地方営業担当者の取りまとめ
最後に、大企業の保険代理店子会社は全国に点在していることが多いです。というのは大企業が全国に拠点(工場など)を持っているのですが、保険代理店機能を拠点(工場毎)にやっている大企業が多いのです。
これは逆に、損保会社の地方支店の法人営業担当者と東京の担当者が密接に連動して仕事をしていかなければならないことを意味します。そのため、東京の担当者は半分は純粋な営業マンとして契約を追いかけるのですが、もう半分は事業の企画の担当者としても働くということです。
ですので企業営業の担当者の場合、営業のため外にですのは数日に1度で、大半をデスクワークで過ごすという方が多く余り泥臭くなかったりします。
そういう意味では非常にバランスの取れているポジションで、他の営業職員とは全く違います(一般営業や自動車営業は毎日外に出て営業しまくるイメージです)。
コバヤシ
損保会社の仕事内容とキャリアー法人営業編①
前回、損保会社の営業部隊の概要について書きました。
大きく分けて、①法人営業、②一般営業、③自動車営業 に分かれます。
強は①法人営業の営業先について解説します。
さて、貴方が損保会社の①法人営業の担当社員だったとします。当然、営業先は誰もが知っている大企業や県を代表する企業だったりします。
では法人営業社員は誰に向かって営業するのでしょうか?
結論から書きます。営業先は大企業の『子会社』です。あなたがたとえ日産自動車の担当者だったとしても、営業先は日産自動車本体ではありません。
何を言ってるのか分からないと思うので解説します。
以前の記事で書いている通り、損保会社は保険代理店を通して保険を販売しています。
なので例えば日産の従業員様に保険を販売する場合でも、代理店が仲介する訳です。
大半の大企業は企業グループ内に保険代理店子会社を持っています。
日産自動車で言えば日産フィナンシャルグループ、イオンで言えばイオン保険サービス、また日本製鉄で言えば日鉄保険サービスといった具合です。
保険代理店を企業グループ内に持つことで、代理店の手数料分(損保会社から代理店へ支払う手数料。保険料の20%くらい)だけ実質的に保険料をカットできるのです。
大企業の場合、年間で数十億の保険料を払っているケースが多いので、保険代理店を自社グループに持つ意味は大きいのです(数億円の経費カットと同じ効果)。
法人営業の職員は、大企業の保険代理店子会社と連携して、大企業本体様の保険プログラムを組成・提供することとなります。
保険代理店子会社は小規模なことが多く(従業員数で100名少しなど)、本社とは別の雑居ビルにオフィスを構えているケースが多々あります。
ですので表面上はあんまり華やかなイメージはないんですけど、何万人という方々の保険を支える仕事ですので、非常に重要と言えます。
コバヤシ
損保会社の仕事内容とキャリアー営業概要編
どーもコバです。
私は損保ジャパンに6年間勤めていたのですが、なかなか外部から何しているのか分からない業界なので、せっかくなので損保会社の仕事内容について書きます!
結論から言うと、以下3つに大きく分かれます。
①営業:営業成績(売上げ)を伸ばす人。ルート営業中心だが新規開拓あり。
②査定:事故(自動車事故や火災事故)の損害額を見積もり、保険金を払う人。
③本社内勤:本社の管理部門。IT部門や事務部門、国際部門など。
私は①に1年少し、5年ないくらいを③で過ごしました。今日は①営業についてです。
営業というと飛び込み営業と思いがちですが、損保の営業は『ルート営業』です。
大事なことなのでもう一度、『ルート営業』です。
つまり、すでに営業先は決まっていて、その決まった所で売り上げを伸ばすことが求められるということです。
損保会社は自分たちで保険は売らず、代理店を通して販売しています。
例えばホンダの車を買ったついでに自動車保険に入ったケースだと、ホンダ(その販売店)が保険代理店として損保ジャパンの保険を売っています。
タマホームで家を買ったついでに火災保険に入った場合、タマホームは火災保険の契約を損保ジャパンの代理店として、お客様と締結しているということです。
ですので、基本的には損保会社営業職員のお仕事は代理店(タマホームの人やホンダの販売店)が保険販売をすること/保険売上げを伸ばすことのお手伝いになります。
よって、他の金融機関と比べると営業としての難易度は低めです。
営業の中でも担当領域は大きく3つに分かれています。
-法人営業:大都市や地方の大企業案件(従業員1000人以上の企業)を担当
-一般営業:中堅中小企業や大き目の個人案件を担当
-自動車営業:自動車ディーラーを担当
法人営業はいわゆる花形です。損保ジャパンでは日立、東京海上は三菱商事など、各財閥グループの大企業へ保険プログラムを提案するお仕事です。
一方で一般営業は中小企業や零細企業、小さめの市役所を相手とする仕事です。ここから営業を始める人が多く、ある意味ガッツでなんとかなる世界でもあります。
基本的には一般営業で数字を上げまくった人が法人営業へと異動していきます。
自動車営業は少し異色で、自動車ディーラー(ホンダや日産のディーラーなど)のみを担当します。自動車営業はキャリア上はちょっと苦しいポジションで、と言うのは
-自動車保険のみしか扱わないので他の保険(火災や傷害保険)の知識がつかない
-ディーラーが土日に稼ぐ業界のため、土日もガンガン電話がかかってくる
-ディーラーはだいたい点在してるので、移動時間(運転)が長くなりがち
-社内(部署)も社外(ディーラー)も超体育会系
というデメリットがあるためです。
仮にこれを読んでいる方で、損保の営業がしたいという方がいれば、自動車営業は避けた方がいいかなーと個人的には思います。
次回以降はそれぞれ(法人営業・一般営業・自動車営業)について詳しく解説します。
ではまた!
コバ
損保ジャパンってどんなとこ②
私は損保ジャパンでシステム(1年)→国際部門(東京3年、海外1年)→地方営業(1年)っていうキャリアを辿りました。
神奈川で営業を経験した後は退職、海外留学という感じです。
在籍する中で国際部門の在り方が大きく変わったなーと思うので、そこについて少し書きます。
結論から言うと
昔:日本人が海外に駐在し、日本企業海外支店のお客さんと仕事をする。あくまで事業の中心を日本人が担う。
今:米国の海外事業ユニット(会社)が全世界の国際事業を統括。当然、国際事業は外国人(欧米)が担当する(日本人いらない)
つまり日本人が海外で活躍するフィールドが少なくなっているということです。
なんでかなと考えると、やっぱりM&A(海外企業買収)に行きつきます。
私が在籍していた時代、様々な国をまたいだ保険取引は新宿本社で書いていました。私自身も米国カリフォルニアのリスクや、東海外のハリケーンリスク、イタリアの地震リスクの保険組成や契約締結をさせてもらってました。非常に貴重な経験ですし、ある意味すごくいい時代だったなと思います。
風向きが変わったのが2014-15年で、当時ロンドンにあるキャノピアスという保険会社を1000億円で買収したんです。それによって、新宿本社でやっていた国際保険取引はロンドンに統合、私が所属していたチームも実質的に解散状態となってしまいました。
時は流れて2017年、損保ジャパンは米国のエンデュアランスという会社を7000億で買収。損保ジャパン配下のすべての海外ビジネスがエンデュアランスに統合され、名前もSompo International(損保ジャパンの海外事業)と変わっています。
何がいいたいかと言うと、損保ジャパン含めた日本企業は時間を買う目的で、自前で海外ビジネスを作るというよりは、すでに出来上がった海外会社を買う方に方針を買えたということです。
その副次的効果として、日本人が海外事業で活躍する機会がすくなくなっている。日本人の仕事が海外事業のモニタリング・管理を東京からする方になったということ。
もちろん管理は大事ですが、本当の意味で海外マーケットで1個人として勝負したい/自分の力でのし上がりたいという人にとっては、ちょっと苦しい時代かもしれません。
コバヤシ
仕事の流儀
ちょっと仕事について書こうと思います。
たぶんここを読んでる人はサラリーマン/OLの方が大半なのかな。
そうなるとやっぱり気になるのが、『自分がどんな仕事をするか』ってことだと思う。
そしてその仕事の対価として『おいくら貰うのか』ってことかな。
結論から言うと『一つの職務(ポジション) 』を極める、ってことが大事かと。
私いろんな仕事してきたんです。損保ジャパンでは営業もやったし、保険のクレームも処理したし(タイの洪水とか)、米国の保険の引き受けとかもやってました。
会社で言えば損保ジャパン(東京)で6年、中国のコングロマリットのFOSUN INTERNATIONAL (香港)でインターン、今はニューヨークの銀行で労働してます。
だから経験の幅は広いんだけど、やっぱり専門性は『浅い』から、オファーのポジションも新卒3年目くらいのレベルからスタートでした。。
同僚が自分より年下でポジションは上だったりしますし 笑。
これまでの日本だと人事異動で、スキルがついたころ(3-4年)で別の仕事ってなってしまう人が多いのかなーと思う。自分もそうだったし。
でも世界(いちおうアメリカと西ヨーロッパ前提で話します)に打って出て、例えばロンドンのシティで這い上がろうって思ったのならば、やっぱり1つの職務を極めるしかないんだろうなーと納得してしまう。
今の自分のボスが財務(ファイナンス)で25年以上やってる人で、いろいろと日々教わってるんで身に染みて感じてます。
ってことで、隣の芝は青く見えてしまうけど、今やってることを極限まで研鑽しましょう。僕もそれで頑張ります!
コバ
損保ジャパンってどんなとこ①
私は損保ジャパンで6年程働いていました。
なかなかエキサイティングな会社なので、ちょっと書こうと思います。
<<自爆営業>>
まぁこれが有名ですかね。業界としては。
損保ジャパンって損害保険-いわゆるモノ保険を売ってる会社です。
自動車保険とか火災保険とか。
で売り上げの半分は自動車業界(自動車保険)から来ています。
なので自動車業界に頭上がらない構図なんです。
損害保険会社は自分で保険は売らずに代理店を通して保険を売ります。
自動車保険なら、自動車ディーラーが保険代理店となって、お客さんに保険販売しています。
なので営業担当の成績って、結構自動車ディーラーさんとの仲にかかってます。
ですから、自動車ディーラーを喜ばせることが、損保営業マンのお仕事です。
では何をすると自動車ディーラーさんは喜ぶのだろう?
基本的には自動車を買ってくれる人を紹介してあげることです。
または営業担当がそのディーラーで自動車を買うことです。
大事なことなので繰り返します。
”または営業担当がそのディーラーで自動車を買うことです”
そうなんです。営業成績のため、損保マンって自動車を頻繁に買い替えてるんです。
3年に1回くらいの頻度で、車検は通らないイメージ。
会社全体として、職員に自動車を買わせようという動きも全然あります。
たとえば課長から
『コバヤシさ、東京から赴任してきたばっかだけど、自動車買わないの?』とか
営業先の自動車ディーラーさん(重要取引先)から
『うちを担当してきた営業さんには、買ってもらってるんだよね~『とか
事務の女性陣から
『コバヤシさんっていつ(自動車を)買うんですか?』とか。
まぁ断ることもできるし、私はのろりくらりと交わしてたんですけど、やっぱり
評判は悪くなっちゃいますよね。他はみんな買っているんだもん 笑
そういう意味で、本当にサラリーマンだと買わざるを得ないんだと思う。
マジで昇進というか、人事評価に影響するので(奉仕の精神も見られるというか)。
新人の場合はもっとひどくて、赴任する前に、ディーラーと赴任先課長ですでに話を
つけていたりする場合がある。
出社すると机の上に自動車カタログが置いてあり、購入する車両の車種やカラーまで
決まってるみたいな 笑。
実際、仙台に赴任した同期は300万くらいのやつを買わされてましたね。
まぁ彼は数年後に公務員になって退職しちゃいましたけど。
個人としてはこういう自爆営業って反対なんです。個人の資産に対して会社が
口出しするっておかしいし。
ただ業界として、悪しき伝統なんですよ。止められないというか。
嘘だと思う方、特に学生さんであれば、OB訪問される際に自爆営業について聞いてみるといいです。たぶん苦笑いされてやんわり逃げられると思いますけど。
こういう業界あるあるを少し書いていこうかなと思います。
コバ